調査報告
桜井市地区住民の健康等に関する調査報告書
概 要
平成15年12月12日
桜井市地区住民の健康等に関する調査検討会専門部会
1.目 的
平成10年頃より桜井市内では同市高田地区を中心に、地区住民から「のどが痛い」
「たんが出る」「頭痛がする」などの訴えが寄せられるようになった。同時に悪臭の指摘
と、その発生源として当該地区の南側に位置する産業廃棄物最終処分場の可能性が
訴えられた。今回の調査は、こうした住民の訴えに基づき、当該地区を中心とした住民
の健康上および臭気に関する訴えの実態を把握するとともに、これらの訴えと当該処
分場との関連性を検討することを目的としたものである。
2.対象地域と対象者の設定
調査対象地域は、@外気が原因と思われる臭いの自宅での経験や臭いと関連した
自覚症状の訴えが保健所等の行政機関にあった地域を最大限含むこと、A当該処分
場(以下、単に処分場と呼ぶ)から十分に離れた地域を比較対照として含むこと、B道
路や自然な地形を区切りの目安にすることなどを考慮して設定した。
具体的には、図のごとく、南北方向に広がりを持つ処分場の北端を中心とした半径
1200mに含まれる地域を原則に、北側は市道阿部忍阪線まで、その他は宅地の集合
状況を考慮して一部1200mを超える地域とした。
その上で、これら地域に居住する全住民を調査対象者に設定した。対象住民の氏
名・住所・性・年齢は、平成14年12月末現在の住民基本台帳から桜井市が作成した資
料の閲覧により入手した。
計3153人であった。これらの個人情報は、当調査検討会専門部会事務局で厳重に保
管し、調査票の配布と返却督促が終了し不要になった時点で裁断廃棄した。
なお、調査対象者の自宅と処分場との位置関係をあらわすために、処分場の北端を
原点とする100m刻みの格子を縮尺1:1500の地図上で作成し、それらに番号(以下、区
域番号と呼ぶ)を付けて集計に用いた。
3.結果要約
1)回収率
調査票の回収率は、成人67・7%
(1688/2492)、小児64・6%(377/
584)であった。郵送調査としては高
い回収率であり、しかも成人の値は
70%に近く、標本の代表性について
の問題は小さいと考える。
2)(成人(高校生以上)の調査結
果
@過去1年間(平成14年1月から平
成15年1月)における外気が原因と
思われる「臭い」(野焼きとし尿臭は
除く)の自宅での経験割合は、北西
側地域で男性60・3%、女性63.4%
と最も高く、北東側地域、南側地域
の順であった。
A「卵が腐ったような臭い」を訴える
割合は処分場に近い区域ほど高率
であり、その愁訴率と自宅・処分場
間距離との間に有意な回帰関係が
認められた。「ごみ臭」「下水臭」「か
び臭」「鼻をさす刺激臭」「キャベツが
腐ったような臭い」も同様の結果で
あった。
これらに対し、「木くずや木材を燃や
した臭い」の訴えにっいては有意な
回帰関係は得られなかった。
これらの結果は、「卵が腐ったよう
な臭い」の発生源として処分場が関
連していることを推定させるものであ
る。
調査対象地域
B喫煙習慣・受動喫煙などの交絡因子の影響を除外するために数量化T類を用いて、
東大式自記健康調査票で用いられている「呼吸器」尺度関連症状と、自宅・処分場間
距離との関連性を検討した結果、北東側地域の処分場から400m以内の区域で「呼吸
器」尺度関連症状のカテゴリースコアが高い値を示したものの、この北東側地域を含め
いずれの地域においても「呼吸器」関連愁訴と自宅・処分瘍間距離との間には有意な
回帰関係は認められなかった。東大式自記健康調査票で用いられている「目と皮膚」
尺度関連症状についても同様の検討を行ったが、同じくこれら愁訴と自宅・処分場間距
離との間には有意な関連は認められなかった。
C東大式自記健康調査票関連に含まれていない自覚症状、頭痛・いらいら感・めまい・
鼻血.吐き気がする・寝つきが悪いなどでは、自宅・処分場間距離が近いほど愁訴率が
高くなるといった有意な傾向を示した症状はなかった。また、既往歴、現病歴について
も、自宅・処分場間の距離との関係は認められなかった。
3)小児(中学生以下)の調査結果
「呼吸器」関連症状、「目と皮膚」関連症状、「鼻血」「寝つきが悪い」などの自覚症状、
「アトビー性皮膚炎・気管支喘息などの診断」の愁訴率と、自宅・処分場距離との間に
有意な関係は認められなかった。
4.結 語
今回の調査では、当該地区住民が訴える臭いの発生源として処分場を推定できた
が、「呼吸器」尺度関連症状、「目と皮膚」尺度関連症状、その他の自覚症状および既
往歴、現病歴については、処分場との関連は認められなかった。
調査報告書の全文は今井県議にお問い合わせください。